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「本棚からの、悲しいお宝発掘」顛末記

見慣れない本

ある日、本棚を眺めていて、見慣れない本があることに気がついた。

「孤独なる静寂」?創元SF文庫で、著者はメリッサ・スコット。

表紙はといえば、星空を背景に、上半分ほどを恒星?が占め、その前景に惑星が浮かび、そして宇宙船。うーんいかにもじゃありませんか(^-^)。尤も、恒星と思ったのは、どうも違うようですけどね。

表紙をめくると、簡単な内容の解説があります。

なになに「水の惑星アルガンソニウムでの敗戦は、海賊結社〈神の怒り〉にとって・・・」ほうほう、「女魔術師」「失われた地球へ至る手がかり」「覇王に復讐を誓う人物」極めつけは「魔術的宇宙活劇!」(*o*)

いやー、おもしろそうじゃありませんか。私は、こういうのが大好きです(^o^)。

しかし、読んだ記憶はおろか、買った記憶すらありません。いつの本でしょう?

1992年5月29日!!なんと8年も前の本でした。

「ねえ、***(嫁さんの名前です)こんな本買ったの?」

「えっ、どれ?」

「これっ」

「知らないわよ、あなた買ったんでしょ。」うーん、記憶にありません。

お宝発見

中をちょっと読んでみましょう。

おやっ、何となく見覚えが。そうそう、この「三者間結婚契約」ってあたりが、なんとなく肌に合わなくて、読まなかったような気がする。

まあ、どういう状況で読まなかったかは、定かではありませんが、結構おもしろいじゃありませんか。何らかの理由で、地球の座標が失われてしまったようです。よくあるパターンです、デュマレストサーガみたい。

宇宙でも、魔法が通用するようです。これも結構ありがちですね。最近では「半熟マルカ魔剣修行」なんていうのもあります。

ちなみに、"Of Swords and Spells"の邦題が、「半熟マルカ魔剣修行」ってのは、いただけませんね。あらすじの最後が、「小さな剣士マルカが大冒険」なんていうのに至っては、最悪。これじゃ、まるで安っぽいジュグナイルファンタジーみたいじゃないですか。結構本格的な内容で、香りはSFだと思うのですが。おっと、閑話休題。

人々は、大宇宙のシンフォニーで船を飛ばし、イメージで表現された空間座標を頼りに、星から星へわたっていきます。

作者は、かなりしっかりしたプロットを用意しているようです。スペースオペラは、こうでなくっちゃいけません。うれしくなってしまいます。

ようするに、おもしろそうな本が、ひょっこり出てきたってことです。以前にも、このようにひょっこり出てきた本の中に「ハリダンの紋章」というのがありました。これは、かなり楽しめた作品です。

今回のもいけそうです。これはもう、お宝発見ですね。

しかし、それにしても

読み進むにつれて、ある疑問が頭をもたげます。

ちょっとプロットがしっかりしすぎていやしませんか?

特に、物語が始まる以前の、ヒロイン(そう、主役は女性です)たちの行動が、こと細かく決められています。

物語に広がりを持たせるためでしょうか?まあ、考えられないことではありません。

また、背景となるプロットの解説が、ほとんどありません。時代背景や、テクノロジーの解説です。

もちろん、作者の意図ということも、考えられます。「レンズマン」に代表されるやつですね。<古いですか?(^_^;

細かいプロットを考えて、それを説明しないのは、強靱な精神力を必要とするんですけど(^_^;;;;;

しかし、それにしても中途半端な感じが拭えません。そうです!あとがきを読んでみましょう。

本来は、あとがきの中に、「あとがきを先に読む人のために」なんて箇所があると、”おおー自分と同じような人が、いるもんだなあ”などと、妙な感動を覚えるタイプなのですが、この本のあとがきは、たぶん読んでいません。そこに書いてあったのは・・・・

Oh NOOOOOOOOoooooooo。。。。。。。。。

「・・・・・・シリーズのいよいよ二冊目の・・・・・・」

ガ〜〜〜〜〜ンンンンンンンンン

極めつけは、その最後。「そんなわけで、次巻、The Empress of Earthへの期待は・・・・・」

「ちょっと待った〜〜〜〜、こいつは、シリーズ物の、真ん中かい。」

後で判明しましたが、「孤独なる静寂」は、サイレンス・リーシリーズ全三巻の二巻目で、「天の十二分の五」と「地球航路」という巻がほかにあるようです。>こういうとき、インターネットと、名も知らぬみなさまのご尽力が、身にしみます。簡単に検索できました。

さて、まだ手にはいるでしょうか?東京創元社のWebサイトで、検索してみましょう。日本書籍出版協会のデータベース検索サービスを使っているようです。

早速創元SF文庫をみてみます。

出てきました出てきました、懐かしい物やらみたことのない物やら。

”メリッサ”でページ検索します。

!?!!

ありません、いやな予感。

”孤独なる静寂”でページ検索。

やはりありません。

仕方ないので、目で検索(^_^;;;;

ない!ない!ないないないないない!!!!!!!

「目録にないのは、出版元にもうないってことだから、古本屋でもまめにのぞくしかないよ」とは、行きつけの本屋のおやじさん。

ふ・る・ほ・ん・や・さ・ん・・・・

探してみたことのある人にはわかると思いますが、古本屋さんで欲しい本を探すことほど、忍耐と時間が必要なことはありません。

かくして、サイレンス・リーは、地球への新たなる希望を手にし、仲間とともに冒険へと旅立つのでありました。私をただ一人、置き去りにして。全く、とほほである。

教訓1、あとがきは、先に読もう。

教訓2、シリーズ物は、一気に買おう。もしつまらなかったとしても、それを悔いてはいけない。

ところで「シリーズ物の途中で主人公が死なない。」というのはネタバレじゃないよね、たぶん。

2000/8/18 追記。とてつもない蔵書数を誇る古本屋を見つけた。ほとんどの古本屋で、ほんの数冊しか見かけない創元のSF文庫が、なんと一棚そろっている(*o*)。しかし、そんな本屋でも見つけられない。本当に見つけられるのだろうか?

2007/1/7 追記。なんと、友人が見付けて送ってくれました。ありがたいものです。「ありがとう『くまぽん』!!」


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Last update: 2000/08/18